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宮古島の海岸に打ち上げられた白化(はっか)サンゴ

元気な時はどんな色だったんだろう?

多くのサンゴの種類があります
 
 
 
サンゴの白化(はっか)は、なぜおきるのでしょうか?
 
サンゴは、小さな褐虫藻(かっちゅうそう)といわれる藻(も)の種類をたくさん体につけることで、二酸化炭素と栄養を藻に供給(きょうきゅう)します。 また藻は、光合成(こうごうせい)を行うことでエネルギーを作り出しそれをサンゴに分けるので、ともに助け合って生きるという意味で、共生藻(きょうせいも)と言われています。

またサンゴのさまざまな色はこの藻の色なのですが、サンゴがストレス状態になるとサンゴは自分の体に住み込んでいるこの藻を追(お)い出してしまうので、白い石灰(せっかい)のような色になってしまいます。 またサンゴが藻を追い出したままだと、サンゴは自分の体に栄養を取り入れることができなくなるので、まっ白い色のまま死んでしまいます。 これが白化といわれる現象(げんしょう)です。
サンゴがストレス状態になる大きな理由には、次の5つがあります。
 
1. 温暖化などの気象現象(きしょうげんしょう)

温暖化とは地球表面の大気や、海洋の平均温度が上昇する現象です。 温暖化は、生態系(せいたいけい)や人間の生活に大きな影響を与えます。 海の生き物の生態系も、温暖化によって大きく変化します。

サンゴはとても繊細(せんさい)な生き物で、海水の温度が通常の温度より2℃高くなるとダメージを受けます。 サンゴがダメージを受けたり白化すると、サンゴ礁で生活する魚や宮古島の海に住む生き物も大きな影響(えいきょう)を受けます。
宮古島近海で毎年発生する台風で、サンゴが折れてしまうこともありますが、台風は高くなりすぎた海水の温度を調整する大切な役割もになっています。
 
2. オニヒトデ

オニヒトデは、サンゴの天敵です。 ヒトデの中でも大きく、体長は平均 30cm〜40cmですが、最大で60cmまで成長するそうです。 
食欲旺盛(おうせい)でサンゴにおおいかぶさると、胃袋(いぶくろ)で直接サンゴをつつみ、消化酵素を出しながら骨格以外を溶(と)かして食べます。 
最近、このオニヒトデが沖縄近海のサンゴ礁に異常発生(いじょうはっせい)し、サンゴが大きなダメージを受けています。

オニヒトデの食欲がどれくらいすごいかというと、ある調査では、成長したオニヒトデ1匹が1年間に食べるサンゴの面積は、5uから13u といわれています。 
飢(う)えにも強く、6ヶ月以上食べなくても生きていけるそうです。 オニヒトデは移動能力が高く、餌(えさ)のサンゴを求めて一日で70m 近く移動することができます。 
オニヒトデの好物は成長の早いミドリイシ類やコモンサンゴ類で、ハマサンゴ類やハナヤサイサンゴ類はあまり好きではありません。 でも飢餓(きが)状態になると、全てのサンゴを食べてしまいます。 

普段は一匹で狭(せま)い範囲(はんい)を行動しますが、大量発生すると集団で広い範囲を行動し、1ヘクタール (100m x 100m) に450匹以上になることもあります。 
その面積のうち、5,400u (73m x 73m) ものサンゴが食べつくされるので、サンゴ礁は大きなダメージを受けます。
また、オニヒトデは全身が猛毒(もうどく)のトゲで覆(おお)われているので、オニヒトデに刺(さ)されると人間も大変危険です。 オニヒトデが異常発生すると、多くのダイバーがボランティアで駆除(くじょ)のために協力しています。
宮古島では1957〜1959年、1998年、そして多良間島では 、2004年にオニヒトデが異常発生しています。
 
3. 農薬や海水汚染(おせん)

畑には化学肥料(かがくひりょう)や害虫や病気から農作物を守るために、農薬が使われています。 その化学肥料や農薬が雨水と一緒(いっしょ)に海へ流れだすと、サンゴ礁にダメージを与えます。 
またよく知られている赤土や生活排水(はいすい)、ゴミによる汚染も白化の大きな原因となります。
   
 
4. 観光のための開発や、観光目的のサンゴ利用
 
とてもデリケートなサンゴは、観光のための開発による環境の変化にも大きく影響されます。 観光客に来てもらうための海岸線に近い駐車場の建設や、海やさんご礁をより近くで見ることのできる施設作りが進められています。 これらはいずれもサンゴの生育環境に大きな影響を与え、これまでのような成長ができなくなります。
 
  他の方の著作権写真であり、このページではご紹介できませんが、宮古島の八重干瀬サンゴ礁で以前に行われていた八重干瀬ツアーは、Google の画像ファイル検索のページで見ることができます。
   
 
5. ローカルゴミ
 
地元の人たちが不法に捨(す)てたゴミが、ローカルゴミです。 宮古島のローカルゴミの総量は8,310トン(2010年統計)で、ゴミの種類は家具や電気製品をはじめ、家庭から出たゴミや農業や漁業関係のゴミなどです。 
島のいたる所でローカルゴミを見かけます。 これらのローカルゴミが海に流れ出し、サンゴの発育に悪い影響を与えています。
   
 
   
   
 
  宮古島のサンゴを守るために、“キッズ”ができること
   
1. ゴミ問題
 
ゴミ問題は私たちが考えている以上に、海の生態系(せいたいけい)に大きなダメージを与えています。 ゴミが海に流れて海底にたまってくると、海中の酸素や光をさえぎり、海の生き物の成長や生活に大きな悪影響を与えます。 

私たちが生活の中で出すゴミが海に流れていかないように、ゴミはきちんとゴミ箱に捨て、ゴミのポイ捨てを絶対にしない。 
海岸に打ち上げられたゴミがまた海に戻らないように、海岸清掃(せいそう)をこまめに行う。 海に遊びに行く時は必ずゴミ袋を持って行き、自分たちが出したゴミを持ち帰る。
海岸にゴミが落ちていたら、拾(ひろ)う習慣をつけましょう
 
2. オニヒトデの駆除(くじょ)
 
サンゴの天敵(てんてき)のオニヒトデが大量発生した時、すぐに駆除できるよう “オニヒトデ駆除基金” の募金運動に協力できる良い方法をみんなで考えましょう。
これまでオニヒトデが大量発生した時、駆除をするための費用がなかったり、費用を集めるのに時間がかかったりしてダメージが大きくなることもありました。
 
3. 地球温暖化現象(ちきゅうおんだんかげんしょう)
 
温暖化の原因である、二酸化炭素の削減(さくげん)に協力する。 普段から、リサイクルや省エネを積極的に生活の中に取り入れ、エネルギーの無駄使いをしないよう心がけましょう。
   
4. サンゴを大切にする
 
サンゴを観察する時は、サンゴにさわったり、傷つけたり、踏(ふ)みつけることの無いように気をつける。
お友だちや大人のひとたちにも、海に行ったときにはサンゴを傷つけないように話しましょう。
サンゴの間にポリ袋やゴミ袋が引っかかっているのを見たら、大人の人に頼んでサンゴを傷(いた)めないように棒(ぼう)などで注意深く外(はず)してもらって下さい。 


(どのような場合でも、ぜったいに子どもだけで海中の清掃をしないで下さい。)
   
 
  一人ひとりが問題意識を高め、協力して宮古島のサンゴを守りましょう! 
   
 
 
下の7枚の写真は宮古島の誇り、八重干瀬(ヤビジ)のサンゴ礁です。
この1個、この1本を大切に守ってあげましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
世界のサンゴ礁の状況

海全体でみると、サンゴ礁は他の海洋環境と比べより多くの生物をサポートしています。
サンゴ礁は熱帯雨林に匹敵するくらい多種多様な生物をサポートしていて、数千もの生き物がサンゴ礁に頼って生活しています。

サンゴ礁は、数千年の歴史を映し出す地球上でもっとも古い生態系です。
サンゴポリプはとても小さい生命体ですが、まとまって地球上で最も大きな生体構造を形成し、中には宇宙から確認できるほど大きなものもあります。

元気なサンゴ礁は、人類にとっても貴重です:

世界中でおおよそ5億人の人々がサンゴ礁にかかわりをもって生活しています。 そのうち、3千万人がサンゴ礁にたよった生活を営んでいます。
サンゴの生態系は

 1) 魚のすみかであり、産卵し、成長するための場所を提供しています。
 2) サンゴ礁は、海岸線を嵐や高波の浸食から守っています。
 3) 人類の食糧となる貴重なタンパク源である魚を育て続けます。
 4) 漁業、娯楽、観光に従事する人たちに仕事を生み出し、収入の道が開かれます。
 5) 新薬の原料でもあり、多種多様な生態系を維持するための重要な資源となっています。

これらをお金に換算すると、世界中で年間おおよそ298億ドル(3兆7千250億)の経済効果があるそうです。 そのため、サンゴ礁の減少が続くと世界的規模で人々の生活に大きな影響を与えます。

サンゴ礁の生存を脅かす人間の行動:

世界のサンゴ礁の約20%が再生不可能な状況で、残りの50%が破壊の危機に面しています。
サンゴ礁にとっての脅威には、

 1) 温暖化現象
 2) 魚の乱獲
 3) 土壌の汚染

などがあり、ほとんどが人間の行動によるものです。 その結果、

 1) サンゴが病気になる
 2) 台風などの大波で壊れやすくなる
 3) 観光や娯楽船によってもたらされるダメージ
 4) 海洋ゴミによるダメージ
 5) サンゴの天敵の発生

なども加わり、サンゴの保全活動が難しい状況となっています。

参考資料:
NOAA National Ocean Service Coral Reef Conservation Program

   

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