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ニイリに歌われた星を、実際の天体上で確認し、方角を見つけましょう。 |
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1. |
宮古の港を昼頃出て池間島の西を通り、船が風や潮流で八重干瀬に近づかないように位地を確認しながら北進する。 |
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2. |
八重干瀬を越えたところで船をうしとら(北東)の方向に向けて進む。 |
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日没後は船をペガサス星座(宮古の方言でユシヤスミヤ星)に向けて、さらに北東に進む。(午後7~8時) |
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4. |
次に、スバル座(宮古島の方言でンミ星)に向けて東に進む。(午後10~11時) |
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次に、北東から昇ってくるぎょ車座(宮古島の方言でムイ星)に向けて北東に進む。(午前0~1時) |
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6. |
次は、宮古島の方言でタタキユミヤ星に向けて北東に進む。(午前3時~4時) |
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関連メモ 2:
宮古島キッズネットでは、出現する時間と方向から、タタキユミヤ星とは大犬座のなかで最も明るい一等星で、青く輝くシリウスのことではないかと考えます。 シリウスは、あんなに明るく輝いていますが地球から8.6光年も離れています。 |
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7. |
夜明け前、空が白んできたら北東方向にある久場島(標高270m)を目指し、久場島の西側を航行し、座間味島を通過後すぐに航路を東に取る。(午前5時頃) |
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関連メモ 3:
ニイリには久場島のことは出てきませんが、この後54節と55節に出てくる順番通り明の明星と太陽が同じ方角から昇ってくる真東に向けてのコースを取るためには、慶良間諸島最西端の久場島を目標として航行することで可能になります。 また、このコースは当時既に行われていた中国との交易航路でも使われていました。 久場島の岳(トゥイヤキヌキジ)は、約60km離れた海上からも確認できますので那覇港の方角と距離を知るための大切な航行の目標でした。
また、このコースは海洋学上でも十分に説得力のあるものです。 沖縄の先島地域北西を北東方向に進む黒潮は、反流の作り出す渦の影響を受けて東や南東に向けての潮の流れの変化が頻繁に起きます。 そのため、宮古島から那覇港を直線で結んだ航路上を航行すると、船が反流に捕らえられ、コースから東側にはじき出されてしまう可能性があります。
その場合、当時の船ではよほど運が良くない限り風を利用して北進し元のコースに戻るのが難しくなり、南西諸島の東側を流れる黒潮分流によっていっきに太平洋大循環コース上を漂流することになります。 そのため、あえて沖縄本島の西側に方向を定めて航行することで、仮にある程度黒潮反流の影響を受けた場合でも沖縄本島にたどり着く可能性が高くなります。
(右の写真は、宮古島の東に発生した黒潮分流をとらえたNASA の衛星観測データです。)
Photo Courresy: NASA's Goddard Space Flight Center |
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8. |
次は明の明星(島の方言でウプラクーラ)に向けて東に進む。(午前6時頃) |
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夜明けと共に太陽に向かって東に進み、那覇港を目指す。(午前7時頃) |
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那覇港に到着 (昼頃) |
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このニイリの歌詞にある星々の出現順番と方角を分析すると、船が宮古島を出港したのは8月下旬から9月中旬にかけての夏の後半と思われます。 また、この期間は風向も南及び南西方向から吹く日が20%程度期待できる時期であり、風待ちをして一気に那覇に向かうことが出来たはずです。
(星の出現する順番だけで考えると10月後半くらいまでは出現時間が変わってきますが、このニイリに歌われている通りの航行は可能です。 ただし、この時代の船はヨットのように向かい風や、横風を利用して進行方向に進むことができませんので、季節風が吹き始めるこの時期は例外的に南西方向からの追い風が吹いた時のみ那覇に着くことができます。)
下の地図は、ニイリに歌われている星の確認順序と進行方向を先島地域で観察できる星座でシュミレーションした大まかな時間軸と、それぞれの船の位地を Google マップに表示したものです。 |
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