耳すきかや漲水
必す思たおやさけ
中屋主が美御ぼげん
やこめ親のみおぼげん
漲水もあは見て
おやさけもあは見て
白明井ど通ひおら
寄合井ど通ひおら
白明井やむまやる
寄合井やあばやる
すともでの井おり
明る日のかはおり
根間座や大海ど
外間座や海中ど
根間座を越えんな
外間座を越えんな
あばあげばつはふむ
いちよふけばなみだ
あが八重山をりんな
下八重山をよんな
雨にやちよもめやめぬ
露にやちよもめやめぬ
あたりこどやたそが
かなさこどやたそが
井んかいそかりおり
水汲んがそかりおり
豊見親のみおぼげん
やこの親のみおぼげん
戻せふいる豊見親
帰せふいるやこめ親 |
かねてより噂に聞いていた漲水の港
かねてより心に描いていたおやさけの泊地
中屋の大将のおかげで
尊き大将のおかげで
漲水の港を見ることが出来ました
おやさけの泊地も見ることが出来ました
白明井に通い続けています
寄合井に通い続けています
白明井戸は深い穴の底にあります
寄合井に降りる断崖は恐ろしいところです
わたしは、毎朝早くからそこにいきます
夜が明けるとすぐに井戸に向かいます
井戸に向かう根間座の道は青い海原を歩いているようです
外間座の道は和田つ海のようなところです
根間座の道を通っていると
外間座の道を通っていると
空を見ても泣きたくなります
うつむくと涙がこぼれます
ああ、わたしが八重山にいたころには
父母のいる波照間にいたころには
雨にさえ濡れることのない生活でした
露にさえ濡れないように守られていました
そのように大切に育てられていたのに
そのように愛されていたのに
いまでは井戸に通い続けて
朝となく、夜となく水を汲み続けなくてはいけないとは
名高き大将のお情けで
貴き大将のお情けで
どうか私を戻してください豊見親さま
どうか私を帰してください大将さま |